DX人財育成プログラム第3講座 リスクマネジメント&クライシスコントロール 開催しました
DX人財育成セミナー第3回目は「リスクマネジメント&クライシスコントロール」をテーマに(株)ZOAS代表 浅野氏に解説いただきました。
「多くの人が危機管理(BCP)の意味を誤って認識している」と指摘する浅野氏。危機管理とは、危機が起きた時の対処方法ではなく、危機が起きないように予め回避策を準備すること、危機が起きた際に被害の拡大を最小限に留め、専門家の協力を得ながら早期に復興を図り、再発防止を図って次の危機に備えることです。持続的な経営において、この危機管理は欠かせないものです。今回のセミナーでは、具体的な災害や危機を想定し、取り組むべき危機管理について学びました。
午前のセッションでは、運動会の危機管理を、次いで災害時の大都市における危機管理を体験しました。体験してみて分かったことは、危機が起きないようにする(または軽減する)ための回避策を忘れがちであることや、危機が起きた時の対応にリアリティが欠けていることでした(警備員を配置すると考えても、配慮していなければ高齢の警備員が配置されることもある)。また避難訓練やハザードマップについても、避難した後どうするか、ハザードマップをどう活かすかについて検討がなされていないという全体視点の課題が指摘されました。
お昼のランチは会場近くのデリシア様で、災害時を想定した食事を購入。災害時は刻々と変化する状況において最適なものを口にすることが身を守る秘訣。災害時は基本的にはストレスが高い状態なので、普段食べ慣れていないものを食べると体調を崩す恐れがあるという指摘に目からウロコ。水に加え、携帯性に優れ、栄養価やカロリーの高い食品が災害時には有用であること、少しの量の食料で長く持たせることを意識する必要があることなど、食事一つとっても災害時には意識しなければならないことがあることを知りました。
午後は経営活動における危機を想定し、危機管理の取り組みについて議論。2つに分かれたグループはそれぞれコロナ対策を想定。一度経験した危機だけにリアルな議論が繰り広げられました。回避 / ダメージコントール(復旧) / 専門家の協力 / ダメージリカバリー(復興) についてそれぞれのグループが検討した内容を“チーフ・チャレンジャー方式”という方法で、さらに議論を深めていく方法を採りました。この方法は、発表グループとは別のグループが発表グループに様々な角度から質問を浴びせること。この方法の特徴は、集団で検討するときに起きがちな集団浅慮を防ぐ効果があります。各グループは知恵と経験をフル活用して危機管理をシミュレーションしました。
危機管理は危機を予め予測し、その回避策と危機発生時の対応策をシミュレーションすること。そのためには危機の局面をリアルに想定し、現実的な施策を講じることが重要です。現実を客観的に捉え、道徳的な判断に流されることなく、自分、そして会社を守ること(自助)を最優先に考え、必要に応じて積極的に専門家へつなぐ。全ては被害の拡大を最小限にとどめるため。復興や再発防止に向けては被害の原因を、犯人探しではなく、発生要因に目を向けて再発防止に向けて危機回避策をアップデートしていく。このサイクルが危機管理能力を高めます。
昨今のVUCAの時代においては、何が起きるか想像することは難しい。だからといって何も準備せずに危機が起きてから対処するのでは遅すぎます。観察力と想像力を働かせ、発生する可能性が高く、影響度も高い危機に対して重点的に対策を準備しておくことが、どのような時代であっても持続的に活動を継続できる体制の構築につながるのです。まさに危機管理はVUCAの時代への適応力として、欠かすことができない能力の一つなのです。