DX人財育成プログラム第4講座GX(グリーントランスフォーメーション)を開催しました
GXとは、2050年のカーボンニュートラルや2030年の国のGHG排出削減目標の達成に向けた取組を経済の成長の機会と捉え、排出削減と産業競争力の向上の実現に向けて、経済社会システム全体を変革させることです。本講座はGX時代の到来を迎えた今、企業として個人としてどのように動き出すかを考えるためのシステム思考力・洞察力を養うことを目的に開催されました。
なお、本講座では株式会社やまとわ 中村氏をメイン講師として同会社の川内氏、株式会社ウィライ 浅田氏、BIPROGY株式会社 山崎氏らが各セクションを担当する共同講義というかたちで実施されました。
長野県南箕輪村の大芝高原内にある施設「森の学び舎」に集まった参加者はまず本日の予備知識としての講義を各講師から受講しました。中村氏からは、「GX時代に求められる企業経営」、「自然資本の重要性」、「世界や日本の森のこと」といった説明があり、その後川内氏より本日歩く森の説明や「災害に強い森の特徴」、山崎氏より「森の多面的機能」についての説明やそれら各機能を調査指標をもとに数値化(可視化)する取り組みの例が紹介されました。
昼食をとった後に、いよいよ実際の森のフィールドワークを実施。今回は箕輪町の上古田地区で2021年夏に発生した災害の現場とその近隣の人工林(人の手によって造成された森)の2箇所を見学しました。リアルな災害の現場に触れてもらいながら、「なぜこの森は崩れてしまったのか」、「この災害と同様の災害が自分達の身の回りで起きることはないか」、「災害を防ぐために自分たちのできることはないか」といった問いを参加者それぞれに考えていただきました。
災害のフィールドを提供してくださった箕輪町役場の職員の方の「従来までの森づくりとは違う森づくりのかたちが求められている。しかしながら行政だけではどのように進めていくのがよいのか分からないのが本音。民間企業の方々や市民の方も交えて共に考え取り組んでいきたい」という言葉が印象的でした。
フィールドワークを終えた参加者は再び森の学び舎に。ここからは、浅田氏がファシリテーターとなって内省と探求の時間。2グループに分かれ、グループごとに「多くの企業が自然資本に関心がないのはなぜか」、「自然資本の持続を実現するために企業がまずできることは何か」等の4つのテーマについて話し合い、その結果をパワーポイントにまとめていただきました。普段の企業活動や生活の中では自然資本や森と少し距離を感じていた参加者もリアルな森の様子を体験した直後でぐっと身近な事と感じていただけたのか、どちらのグループでも活発な議論が繰り広げられていました。最終発表では自然資本の持続を実現するための企業ができることとして、グループ1では「子供世代への教育」、「他企業と連携して取り組む」、グループ2では「行政や専門機関と連携して取り組む」、「社内での定量的な目標や取り組みを見える化して公表していく」といった内容が示されました。
研修を終えた参加者からは「政府が進めるだけでなく、民間人一人一人が危機感を持って取り組む必要があると感じました」、「自然環境が整っている事が前提で企業活動が成り立っている事が改めてわかりました」といった感想をいただきました。
GXというと世界のどこかで起こっている自分とは関係のない事象のように感じるかもしれませんが、人類が地球という限られた資源の中で持続可能に生きていくために今まさに求められる動きであり、私たちひとりひとりがそのことを意識し行動していかなければならない時代となっています。またこのことを経済活動と結び付けて社会的信頼を得ながら成長をしていける企業がこの先の未来をつくっていくのではないかと思います。
今日から考え共に行動に移していきましょう。